金地金相場の上昇続く、米国10年物国債5%超え視野ートランプ大統領、英米国際金融覇権体制の解体も狙う(追記:ウクライナ終戦問題)

B!

今月4月2日のトランプ大統領による相互関税の発動と90間停止で国際金融市場は大荒れの状態だが、見逃すことができないのは、金地金相場が現物価格で1トロイオンス=3300ドルを突破していることと、米国国債の指標国債である10年物国債の金利が5%突破を視野に入れ出してきたことだ。いずれも、ドル基軸通貨制(実態的には、中国によって風穴が開けられているけれども、サウジアラビアなど中東産原油はドルでしか買えないというペトロダラー制)を根幹としてきた第二次世界大戦後の国際金融覇権体制(英国が大英帝国のノウハウを米国に伝授・押し付けて構築した)の崩壊ないし意図的な解体につながる。国際金融覇権体制の解体は、巨額の財政赤字と大幅な経常赤字、世界最大の対外純債務残高(2020年9月末のデータでは、対外債務残高は43兆3,585億ドル、対外債権残高は29兆4,083億ドルで、その差である対外純債務残高は13兆9,502億ドル=約2千兆円)に蝕まれ、経済が大幅に弱体化(ポンコツ化)した米国の再生のためだ。

英米金融覇権体制の解体狙うトランプ大統領

まず、最近の金地金相場(https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/)、米国債10年物金利(https://jp.investing.com/rates-bonds/u.s.-10-year-bond-yield)の動向を下記に掲載しておく。金地金相場は1トロイオンス=3300ドルを突破しており、米国の10年物債券は4%を突破し、4.5%を目指している。

国際情勢解説者の田中宇氏は11日に投稿・公開した「金融が破綻しそう(https://tanakanews.com/250411dollar.htm、無料記事)」で、次のように警告しておられた。

これまでは、米金融が大儲けできる投資先だったので、BRICSは自前のシステムを作りつつ米国にも旺盛に投資していた。米国側の「専門家」たちは「BRICSは、自前のシステムがうまくいかないからドルに頼らざるを得ないんだ」と嘲笑し、高をくくっていた。De-Dollarization Was Always More Of A Political Slogan Than A Pecuniary Fact

しかし、今後は短期間に激変しうる。世界は、予想より早くドル離れ(非ドル化)しており、国際金融システムは不透明な領域に入ったと、ドイツ銀行が警告を発している。ドルや米国債から、日本円、スイスフラン、金地金などドル以外への資金流出が起きている。Global financial system entering ‘unchartered territory’ - Deutsche BankYEN, FRANC, GOLD RIP HIGHER - Safe havens surge despite cool CPI

トランプは就任直後の2月初めに「BRICS諸国が非ドル化やドル離れを画策するなら、制裁として100%の高関税をかけて潰してやる」と言っていた。その時は「100%の高関税」がケバケバしく、単なる脅し文句に見えた。しかし今すでにトランプは、BRICSを主導する中国からの輸入品に最高125%の高関税をかけている。すでにトランプは「非ドル化に対する制裁」を発動している。ならば、中国などBRICSは何も恐れる必要がなく、好きなように非ドル化をやれる。Why’d Trump Just Repost His Threat To Impose 100% Tariffs On BRICS Countries?

もしこれから10年米国債の金利が5%を越えて上昇し続けたら、世界はそれをドル崩壊の兆候とみなす。ドイツ銀行の警告も、この流れを指している。米国のジャンク債の金利は、この数日で7%から8%に跳ね上がり、米国債よりも急速に悪化している。これまではジャンク債の金利が低かったので、潰れそうな企業でも低金利で資金調達でき、ゾンビ化するだけで潰れず、雇用が何とか守られていた。ジャンク債の金利が上がると企業倒産が急増し、実体経済が悪化して不況色が強まる。Schiff Warns "The World Is Getting Rid Of Dollars" As Gold Hits New Record High

トランプは、世界がドルを見捨てるように画策しているように見える(隠れ非ドル化屋)。中国が関税戦争をやめないなら、次は米国の株式市場に上場している中国企業(全部で286社)を上場廃止に追い込むかもとトランプ政権が言っている。中国企業を追い出したら、米国株は暴落が加速する。トランプはいったん米国を潰していく(多極型世界の米州の極として再起する)。Chinese companies could be removed from US stock markets

金融崩壊が始まると、米連銀(FRB)がQT(造幣減で債券放出)をやめて、QE(過剰造幣して債券買い支え)を復活すると予測されている。連銀がQEを再開したら、いったん金利が下がり、株価が反騰する。しかし、BRICSなど世界の米金融への敬遠や非ドル化の動きは変わらない。むしろ(欧日など軽信者以外の)世界は、QE再開を見て、米国が金融破綻に瀕していることを感じ取り、非ドル化に拍車をかける。"End Of An Era": Deutsche Bank Warns If Treasury Market Disruption Continues, Fed Will Have To Start QE

田中氏は金地金相場については、ウクライナ戦争が起きた年の2022年秋、それまで中央銀行の中央銀行とされている国際決済銀行(BIS)の金地金相場抑制策で1トロイオンス=2000ドル以下に抑えられていた相場は2000ドルを突破し、5000ドルを目指す動きになると予想されていた(「米英の金相場抑止とロシア」https://tanakanews.com/220912gold.php)、有料記事=https://tanakanews.com/intro.htm=)。

ブレトンウッズ会議が開かれたマウントワシントンホテル

米国10年物国債金利が5%突破を目指す展開になってきたことと、金地金相場が1トロイオンス=5000ドルを目指す動きを示すようになったことは、要するに、ドル相場の暴落である。第二次世界大戦中の1944年7月1日から22日までアメリカニューハンプシャー州ブレトンウッズのマウントワシントンホテルで開かれたブレトンウッズ会議で、英国のケインズが提案したバンコール案が退けられて、米国のホワイト案が示したドル=金本位制というドル基軸通貨体制が採用された。なお、ホワイトは、ソ連のスパイであったとの容疑から、米国の議会に召喚され、謎の自殺を遂げた。

第二次世界大戦直後は世界最大の経済大国であった米国も、自国の通貨を世界の基軸通貨国にすることは容易ではない。というか、不可能だ。資源・エネルギー、穀物、消費財、投資材、生産財何でも購入できるドルを米国から入手するため、世界の諸国家は対米貿易黒字を挙げなければならない。それは、米国が産業国家として弱体化し、世界にドルを過剰に供給することを防ぐために、ドル還流システムを築かねばならないことを意味する。つまり、米国が産業国家としては崩壊し、驚くべき格差社会をもたらす金融立国国家として生き延びていかなければならないことを意味する。これは、米国が世界の他の諸国家から搾取されることを意味し、米国の経済力は衰退していかざるを得ない。

その傾向は、ニクソン大統領が中華人民共和国(ニクソン・キッシンジャーの忍者外交によるニクソン訪中で、中国として認識)に対する関与政策を行い、中国に直接投資を行い、雇用を流出させることでひどくなった。ただし、その先駆けを行ったのは、田中角栄首相時代の日本である。このため、米国と日本から両国の労働集約型から始めて資本集約型の企業が直接投資を行い、中国の低賃金労働を利用して、「赤い資本主義国」になり、中国は購買力平価では世界最大の経済大国となって、中国が米ソ間の中距離核ミサイル全廃条約(INF)に加わらなかったこともあって、米国を脅かす存在になった。こうしたことと、ドル基軸通貨体制が英米金融覇権体制を築いたものの、2008年のリーマン・ショックで金融立国は持続が不可能であることが明白になったため、英米のディープ・ステート(DS)=諜報界では「隠れ多極派」が台頭、勢力を伸ばすようになった。

その傾向が非常に強くなったのが、米英単独覇権派の傘下にあった民主党内のリベラル左派勢力が担ぎ上げたバイデン前政権とウクライナのゼレンスキー「大統領」が誘引したウクライナ戦争である。ウクライナ戦争が始まる以前から、バイデン政権(当時)は温室効果ガス(二酸化炭素)排出による地球温暖化説を広め、米国内の国有地でのシェールガスやシェールオイルの掘削を禁じた。これに、ウクライナ戦争による対露経済制裁が加わって、世界はコストプッシュ型のインフレに直面するようになった。

このコストプッシュ型のインフレは、高インフレと高金利、それによる不況をもたらし、米国を中心に米側陣営諸国にスタグフレーションをもたらしたが、米側陣営諸国は中央銀行が造幣する通貨を資本市場に流し込み、株式相場や債券相場などの有価証券価格を無理やり引き上げて、実態はスタグフレーションであるのに、表面的には景気が回復しているかのように見せかけることで、オールド・メディアも使って米側陣営の諸国民に対しては、インフレは沈静化、景気は好転しているかのような情報操作を行った。

しかし、経済の実態を誤魔化すことはできないから、昨秋の大統領選挙で米国の中西部地域と大西洋岸中部地域の一部に渡る、産業が廃れている7州(ラスト・ベルト、錆びた工業地帯)で共和党が全勝、民主党が大敗して、隠れ多極派のトランプ前大統領が米国政治史上、まれに見る返り咲きを演じ、第47代大統領に再選された。トランプ大統領の主要な目的のひとつは、このラストベルト地帯に高関税政策で海外諸国の企業の直接投資を呼び込み、雇用を創出して、新産業革命を実現する基盤を確立することだろう。

ホワイトハウスのサイトより

なお、英国の清教徒(ピューリタン)が宗教的迫害を逃れて米国に移住、ピューリタニズムを含むプロテスタンティズムを国家統合の理念として成立した国が、アメリカ合衆国(米国)だが、Youtubeのイエアンドライフ・チャンネルでは、「【西洋の敗北】アメリカがポンコツになった理由」という公開動画(https://www.youtube.com/watch?v=YjMUd4O8vEY)で、人類学者のエマニュエル・トッド(フランス国籍)の「西洋の敗北」を踏まえて、欧米文明がバイデン政権以前の民主党時代に没落した理由を示している。下図が要約だが、プロテスタンティズムが精神的にも理念的(神学的)にも衰え、現代に通用しなくなったことが原因としている。

下図がそのキャプチャ図だが、2015年はオバマ大統領の時代に、キリスト教・旧約聖書の創成紀の教えに根本から反する同性婚が認められた年だ。この年から、米国が本格的に没落を開始した。トランプ氏が予想外に大統領に選ばれたことで巻き返しを図ったが、トランプ第一紀政権の閣僚や高級官僚にリベラル左派がかなり紛れ込んだため、トランプ大統領の真の願いはかなわず今年2025年1月、第二期政権の発足以降、米国の再生に取り組んでいる。このため、ホワイトハウスに「信仰局」を設け、ポーラ・ホワイト牧師を信仰局長に任命した。

米国の三段階没落過程
トランプ大統領とポーラ・ホワイト信仰局長

トランプ大統領のもうひとつの重要な狙いは、英米金融覇権体制を解体して、産業国家として再生するための基盤を作ることだろう。これについて、田中氏は17日に「ずーっと続く金融危機と世界経済転換」(https://tanakanews.com/250417tariff.php、有料記事=https://tanakanews.com/intro.htm=)を投稿・公開して明快に説明している。この有料記事は、「ドルや米国債が崩壊していく中で、非米側諸国は、ドルに替わる国際決済体制として、ふだんは各国の自国通貨を相互に使い、長期的な貿易不均衡を金地金の受け渡しによって決済するやり方を採り始めている。今回トランプが高関税策で世界を揺さぶり、ドル崩壊が、潜在的な可能性から、具体的な現実へと転化し始め、金地金の必要性が急増した。だから、金相場の高騰に拍車がかかっている」のリード文で始まる。投稿記事の一箇所を紹介させていただきたい。

トランプの高関税策は、貿易政策を装っているが、本質(注:のひとつは)は、米経済覇権(米国中心のグローバル経済体制)を潰す策だろう。トランプは「中国を世界的に孤立させるために高関税策をやっている」とか「世界各国に対し、米国か中国かどちらかを選ばせたい」と説明している。世界に対し「米国と中国のどちらかを選ばせたら、世界は米国を選んで中国と疎遠にするだろうから、中国は孤立する、という戦略だ。しかし、そうなのか??。世界は二者択一を迫られたら、もしかすると米国でなく中国を選ぶのでないか??。政治的に対米従属一本槍の日本ですら、経済的には中国との関係を切るわけにいかない(注:日中共同声明や日中友好平和条約も生きている)。BRICS諸国はすでに、米国でなく中国を選んでいる(だからBRICSに加盟している)。Bessent's Grand Strategy: Use Tariff Negotiations To Isolate China From The Rest Of The World

中国は既に、日本についで米国債の保有残高が多いが、数年前からその座を日本に譲り、米国債を売却している見られる。サイト管理者(筆者)が思うに、大量の米国債の売却は、人民元高を招くが、中国はBRICS諸国など非米側陣営諸国と新しい国際経済システムを構築するので、人民元高・ドル安はそれほど困らないだろう。ただし、急激な英米金融覇権体制の崩壊は、トランプ政権にとっても短期的には有益でないため、トランプ大統領は恐らく、量的金融緩和を含め、利下げをパウエル連邦理事会議長に求め、この要請に従わない場合、解任することを示唆している。ただし、ヘッジファンド出身のベッセント財務長官は、この動きを牽制していることが伝えられている(https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/V63BLNK7AJK5XJJEH4TCWQJBNM-2025-04-17/)。

ただし、英米金融覇権を解体する場合は、米側陣営諸国の金融・資本・為替市場に重大な影響を与えるし、米国が新産業革命を起こして、産業国家として再生するには時間がかかる。その間をどう切り抜けるかが、トランプ大統領・政権の真価が問われるところになる。なお、米国のトランプ政権はロシアとともに、ロシアの西シベリアとアラスカに豊富に埋蔵されているレアメタルやレアアースなどの貴重金属を含む豊富な天然資源の協同開発に取り組む可能性がある。マルコ・ルビオ国務長官は、見込みがなければ、ロシアとウクライナの停戦・終戦の仲介を止めるとの報道もある(https://www.bbc.com/japanese/articles/c4g933plzkgo)が、米露の水面下での協調は進んでいると思われる。

ロシアとウクライナの停戦・終戦の調停を止めるというのは、ゼレンスキー「大統領」がを支援して、ウクライナ戦争を「ロシアが敗北するまで」続けようとしている、英国を中心としたリベラル左派全体主義政権とフォンデアライエン欧州委員会委員長(ドイツのメルケル元首相が抜擢)が「指導」する欧州連合(EU)が自滅するのを待つということと同じだ。

2024年BRICS首脳会議=Wikipedia

ロシアは、中国と並んでBRICSの指導国家である。2025年のBRICSサミットは、90日間の相互関税一時停止開けの7月6日から7月7日にかけてブラジル・リオデジャネイロで開催される。相互関税一時停止は、BRICS首脳会議に向けたものだ。BRICSには現在、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国、イラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピア、インドネシアが正式加盟しており、サウジアラビアはステルス参加するものと見られるが、中東でのイスラエルとイランの対立の回避、イスラエルとサウジアラビアの国交回復にもロシアの協力が必要であるから、世界多極化文明経済時代において、ロシアがどういう役割を担っていくかが重要になる。この点について、田中氏は「イランと和解するトランプ(https://tanakanews.com/250412iran.htm)」で、次のように述べている。

イスタンブールでの米露対話はウクライナ停戦が主題だったと発表されているが、目くらましだろう。ウクライナは、米国の仲裁で開始されたロシアとのエネルギー施設攻撃禁止の部分停戦協定を大っぴらに破り続け、停戦案は破綻しているが、それはロシアの希望でもある。Russia & US Reveal Details Of Latest Talks In Istanbul トランプがイランと交渉開始する直前の3月中旬には、中国がイランとロシアの外務次官らを北京に招待し、3か国間の結束強化について話し合った。中露イランは、トランプの軍事威嚇に対抗して合同軍事演習もしている。China, Russia, Iran To Hold Nuclear Talks In Beijing After Tehran Snubbed Trump Offer

ロシアはイランと、軍事安保からエネルギー、交通、科学技術までの広範囲な20年間の戦略協定を締結することを決めている。今後のイランは、中露の下支えで発展していく。イスラエルが不満を持たずにイランと和解していけるよう、米国だけでなく中露もイスラエルに協力(パレスチナ抹消を黙認)する。トランプと中露が中東を安定させていく道筋が敷かれている。Russian Duma Ratifies 20-Year Defense, Energy Pact With Iranトランプは、サウジなどアラブとイスラエルの和解も「アブラハム合意」でとりもっている。イランとサウジは目立たないようにしつつ、すでに仲良しだ。トランプがイランを空爆するぞと言ったら、サウジとUAE、カタール、クウェートの政府が、米国に対し、自国の領空や領土を経由・使用してイランを攻撃することを禁じた。サウジなどGCCは、イランとの関係を大事にしている。Gulf States Refuse To Let US Use Bases, Airspace For Iran Attack

イランは昔から、ウラン濃縮など核(原子力)開発を続けているが、軍事用(核兵器開発)でなく、医療用アイソトープの製造など民生用だ。イランが核兵器開発していないことは、IAEAも、トランプ政権(ギャバード諜報長官=CIAなど米国の諜報機関を束ねる国家情報長官=)も認めている。US Intelligence Says Iran Is ‘Not Building a Nuclear Weapon’)(中略)

トランプの中東戦略は、中東のすべての対立を解消するのが目標だ。露骨な戦争を、外交的な対立や、経済的なライバル関係に低下させていく。それは平和主義というより、米国が中東など世界中の面倒を見させられる覇権体制からの「解放策」である(トランプは高関税も解放策だと宣言した)。これまで、米国(覇権運営担当の諜報界)にとりついて世界支配をやらせて自国の利益にしてきた諸国の筆頭は、英国とイスラエルだ。トランプは、英国(とその傘下のEU)にウクライナ戦争を任せ、米国自身はロシアと和解してウクライナ戦争から離脱し、英国が米国を牛耳れないだけでなく敗北必至のウクライナ戦争で自滅していくように誘導した。英国は退治されつつある。英欧だけに露敵視させる策略

イスラエルに対してトランプは、イスラエルがパレスチナやヒズボラやシリアといった適性勢力を無力化・追放して自国の領土と影響圏を好き放題に拡大し、そのうえでサウジやイランと和解・敵対解消して、安定化された中東でイスラエルが地域覇権国になれるようにした。その見返りにトランプはイスラエルに、米諜報界にとりついて米国に中東支配させてイスラエルを安泰にする従来の策をやめるよう求めた。この協約(ディール)に基づき、イスラエルはガザ戦争でパレスチナ抹消を開始し、ヒズボラを精密攻撃で潰し、傀儡にしたHTSにシリアを政権転覆させた。

中露同盟を結んでいるロシアが、米国と中国、イランの仲介をするのかどうかが、今後の焦点になる。

ウクライナ戦争の終戦を阻止しているのは欧州リベラル左派政権とウクライナのネオ・ナチ勢力

既に、トランプ政権のマルコ・ルビオ国務長官が、「進展の兆しが見られない場合、ウクライナ戦争終結に向けた米国の取り組みを「数日以内」に打ち切る可能性があると警告した」ウクライナ戦争の停戦・終戦交渉から撤退するとの「観測気球」を挙げていることを述べた(https://www.cnn.co.jp/usa/35232020.html)。これに関連して、プーチン政権のペスコフ報道官は、「アメリカ・トランプ政権との停戦に向けた協議について「かなり複雑だ」と述べ、協議が難航していることを示唆」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250419/k10014784261000.html)したという。

在住モスクワの日本人実業家で、ロシアを取り巻く周辺諸国の政治情勢に詳しいニキータ氏のYoutubeチャンネル「Nikitaの機密解除」の動画「元ウ国会議員(注:ヴィクトル・メドベチュク氏のこと)が語る〜ゼレンスキーを支配するのは白人至上主義者」(https://www.youtube.com/watch?v=ULgPXhzVWPk)によると、ゼレンスキー「大統領」を操っているのは、欧州のリベラル左派戦隊主義官僚独裁政権のほか、ステパン・バンドラらを開祖とするウクライナ国内の古くからのネオ・ナチ勢力だという。

ネオ・ナチ勢力の軍事勢力としては、ウクライナ国防軍の中で特別に優遇されている「アゾフ連隊(大隊)」が有名だが、現在は大佐クラスのウクライナ国防軍の軍人になっているアンドレイ・ビレツキー氏らがゼレンスキー政権をコントロールし、ロシアとの停戦・終戦交渉を絶対的に阻止しているという。ニキータ氏によると、ウクライナ側のプロパガンダとは反対に、プーチン政権はウクライナのエネルギー・インフラへの攻撃を30日間停止したが、ウクライナ側はロシアのエネルギー・インフラへの攻撃を続けてきたため、トランプ政権が提示し、ロシア、ウクライナが合意したとされる停戦案が継続される見込みは全くなくなった。

なお、法務省の外局である公安調査庁は、岸石政権が未だにウクライナに対する軍事・経済支援を継続していることから、「日本の公安調査庁は8日、公式ウェブサイト上の「国際テロリズム要覧2021」からウクライナの「アゾフ大隊」(現国家警護隊特命分遣隊アゾフ連隊)の記載を削除した」(https://www.ukrinform.jp/rubric-ato/3451937-ri-benno-gong-an-diao-zha-tinguebusaito-shangkaraazofu-da-duini-guansuru-ji-zaiwo-xue-chu.html)。

プーチン大統領は、ウクライナ戦争の終戦条件として、①ウクライナの中立化②NATOへの非加盟③ウクライナの費軍事化(非核化)④ウクライナ政権の非ナチ化ーを挙げているが、ウクライナのゼレンスキー政権を国内で傘下に置いているのは古くからのネオ・ナチ勢力のため、トランプ大統領によるウクライナの停戦・終戦仲介交渉は非常に困難な情勢になっている。もっとも、本サイトの管理者(筆者)としては、トランプ大統領及びトランプ政権がネオ・ナチ勢力の存在を認識していないとは思わない。熟知した上でのマルコ・ルビオ国務長官の観測気球だと思う。

ただし、ウクライナ国家とウクライナ国民のためにウクライナ戦争を終結させるためには、ウクライナ国内で反体制派勢力が国民の間で支持を獲得して多数派になり、ネオ・ナチ勢力とともにゼレンスキー政権を打倒する必要が出てくることは、やむを得ない。もっとも、欧州のリベラル左派全体主義官僚独裁政権が、ウクライナ支援の不可能な情勢に追い詰められてくることから、ウクライナはロシアに完全に敗北して、多大な領土を完全に併合され、政変が起こってウクライナ戦争が終結する公算が一番大きい。こうした情勢の中での、岸石政権の軍事・経済両面でのウクライナ支援は、トランプ大統領から大きく批判され、日本政府追及の原因のひとつになるだろう。

 

最新の記事はこちらから