米英覇権体制からトランプ政権は離脱、英国系だけが残り欧州支配ーウクライナ戦争は低強度で継続の模様か(追記:最新戦況状況)
トランプ大統領の協力でシベリア開発を行いたいプーチン大統領=BBCより

バイデン政権までの米国は英国とともに、一極覇権派による世界覇権体制を築いて世界の諸国家・諸国民を支配下に置いた。しかし、覇権派の稚拙な外交政策(ウクライナ戦争、大英帝国提唱の「パレスチナ国家構想」を前提とした中東紛争・戦争、対テロ戦争など)や地球温暖化説の世界各国への強要、米国国立感染研究所の所長を経験したファウチ氏も絡んだ意図的なコロナ禍・健康被害の出るmRNA型ワクチンの強要などによって、世界は米側陣営と非米側陣営とに分裂。非米側陣営はBRICSを中心として経済興隆の勢いを見せているが、米側陣営は超インフレや金融バブルによって経済が弱体化、「ペトロ・ダラー制」も転換点に来ており、経済は衰退傾向になった。米側陣営ではトランプ前大統領が大統領に再選、イーロン・マスク氏の率いる政府効率化省などをテコに、英米世界単独覇権派を打倒しつつ世界多極化体制を敷きつつあり、米国は従来の米英世界覇権体制(米側陣営)から離脱する動きを強めている。ただし、国際情勢解説者の田中宇氏が3月20日に公開した「英欧だけに露敵視させる策略(https://tanakanews.com/250320europ.htm、無料記事)」によると、トランプ大統領は、英国系の覇権体制派は影響力を行使できる舞台を欧州に限らせるとの見方を明らかにした。

米露協調路線は変わらず、発展する。英国系世界単独単独派はいずれ消滅

この場合は、欧州で国民の支持を集めつつあるトランプ型の政治勢力は英国系の単独覇権派によって潰され(エスタブリッシュメント・リベラル左派全体主義官僚独裁体制の樹立)、傘下にある欧州連合(EU)とともに、軍事力の大拡張を行ってロシア敵視策を継続することになる。事実、フランスでは民衆政党(ポピュリスト政党=政治変革を目指す勢力が、既成の権力構造やエリート層を批判し、人民に訴えてその主張の実現を目指す運動を展開する政党=)である国民連合の大統領候補のルペン氏を昨年の2024年11月13日、「フランスの極右・国民連合(RN)が議員秘書を架空雇用し、欧州連合(EU)から数百万ユーロ(数億円)を不正受給したとされる事件で、仏検察は13日、公金横領の罪に問われたRNのルペン前党首(56)らに5年間の被選挙権停止などを求刑した」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2024111400332&g=int#goog_rewarded)。

パリの裁判所で取材に応じる国民連合(RN)のルペン前党首=13日(AFP時事)

マリーヌ・ルペン氏の動向はオールド・メディアでは寡聞にして、報道されない。また、ルーマニアのトランプと呼ばれるカリン・ジョルジェスク氏が昨年12月の大統領選挙で決選投票に進出したが、(注:EU傘下にあると見られる)ルーマニア憲法裁判所によって選挙事態を無効とされ、今年5月に予定されている大統領選挙への出馬を禁止された(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250310/k10014744731000.html)。

ことし5月、大統領選挙がやり直される東ヨーロッパのルーマニアで、去年の選挙でSNSを活用して躍進したロシア寄りの主張を掲げる候補の立候補が認められず、今後、支持者の反発が広がることも予想されます。ルーマニアでは、去年11月の大統領選挙でそれまで無名だったロシア寄りの主張を掲げるジョルジェスク氏が、SNSのTikTokを活用し決選投票に進みました(首位)。しかし、政府がロシアが選挙に介入した可能性やジョルジェスク氏の選挙戦に親ロシア感情を広めようとする勢力などが関与したと指摘し選挙は無効となり、ことし5月にやり直されることが決まっています。

5月のルーマニア大統領選挙に立候補を禁じられた右派のカリン・ジョルジェスク氏

ジョルジェスク氏はこの選挙にも立候補を届け出ていましたが、9日当局は立候補を認めませんでした。詳しい理由は明らかになっていませんがジョルジェスク氏はSNSに「世界中の民主主義にとって打撃だ」と投稿し反発しています。

ドイツで躍進している「ドイツのための選択肢」も共同党首であるアリス・ワイデル氏らの逮捕・拘束や同党に対する弾圧が今後、実現する可能性がある。また、NATO加盟国でありながら、ロシア支持やウクライナに対する軍事支援に反対することなどで一貫しているハンガリーのオルバン首相、スロバキアのフィツォ首相、さらには、イタリアのメローニ首相ら右派系の各国首脳にも欧州連合(EU)経由で、悪影響が及んでくる可能性がある。

「ドイツのための選択肢」のワイデル共同党首=ニューズウィーク誌

欧州は現在、反トランプ系とトランプ系の政治勢力に分裂しており、トランプ系の政府や政党は、親露外交政策、ウクライナへの軍事支援停止、不法移民の徹底取締、国内経済優先などで、トランプ政権の政策に似た政策を打ち出している(Youtube「イエアンドライフ」チャンネルより)。

これに対して、世界単独覇権派の英国のスターマー首相は、欧州諸国の「有志連合国」からなるウクライナ支援軍隊を創設することも辞さないとしている(『ウクライナ和平合意、保護策なければプーチン氏は『破る』と英首相 『有志連合」の軍事指導者会議』、https://www.bbc.com/japanese/articles/cjw2gj12z7go)。

イギリスのキア・スターマー首相(注:労働者=国民の生活が第一のはずの労働党の党首)は20日、ロシアとウクライナが和平合意に至っても、それが守られる体制が伴わなければ、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は合意を破るだろうと発言した。ロンドンではこの日、各国の軍事指導者らによる会議があった。20カ国以上が出席し、ウクライナの安全保障を保証するための(注:米国トランプ政権抜きで)部隊派遣案について協議した。

英国のスターマー首相=BBCによる

スターマー首相は、会議が開かれた英常設統合司令部で、ロシアとウクライナの戦闘を停止するための合意は、「安全保障の取り決めがなければ長続きしない」と述べた。また、この取り決めがロシアに対し、「合意を破った場合に起こる厳しい結果」を明確にするだろうと述べた。

米国に巣食っていた英米世界単独覇権派はトランプ政権によって、米国に足場を失い、欧州に追放された。これらの動きについて、国際情勢解説者の田中宇氏は次のように解説している。

米国にいた英国系は、DOGEの監査などで抑止し全滅させる。民主党やCIA、マスコミ、USAID、リベラル派などが英国系の傘下にあったが、いずれも急速に勢力が衰えている。米諜報界は、英国系からトランプ系へと換骨奪胎されていく。英傀儡ジョージ・ソロス系のラジオ自由欧州(RFE/RL)は資金源のUSAIDを破壊されて米国から追い出され、EUが引き取ることになりつつある。ソロス系や軍産が米国から欧州に亡命していく。EU could take over RFE/RL - Kallas諜報界の世界支配を終わらせる

トランプはプーチンと親密になり、今後は習近平やモディ、金正恩、ハメネイとも親しくなる。トランプの米国は、敵を作って世界支配する英国系の覇権体制から離脱する。その代わり、トランプは、英国系の大本山である英国が、フランスやドイツ、EUを引き連れてロシアと恒久対立を続け、ウクライナ戦争を引き継ぐことを認める。こうすることにより、トランプは英国系との徹底対立を回避して手打ちできる。英国系を全滅させようとすると逆襲されて手こずるので、トランプはそれを避けた。米露和解と多極化の急進

トランプは就任直後、英国や仏独EUに対し、米国はウクライナ戦争やロシア敵視、NATOの体制から抜けていくが、英欧が引き続きロシアを敵視してウクライナ戦争をテコ入れするのは阻止しないと伝えたのだろう。ウクライナ戦争は長期化しても、いずれロシアの勝ち、英欧の負けで終わる。英国系が自滅していく流れは変わらない。トランプは、英国系からの逆襲を防いだだけだ。Hegseth to push Europe to boost spending on NATO, Ukraine as he visits Brussels

トランプのせいで英国は、恒久対立体制を作って支配できる領域が、全世界から欧州だけに減る。それは不満だが、次善の策として、欧州だけでも支配地域が残る方が良い。英国はトランプの提案を了承した。独仏は、対米従属(対英従属)の一環でウクライナ戦争や露敵視に参加した。開戦前のドイツは親露だったが、親分である米英に追随して露敵視に転換した。だが今や、ウクライナは敗北寸前で、独経済も破綻している。そしてトランプになった米国は、露敵視をやめ、欧州への軍事支援もやめていく。EU leaders ‘trembling’ over Putin-Trump call

独仏は、できることなら露敵視をやめて和解したい。だが、それをやると独仏ともにエリートが国民の支持を失い、AfDやルペンなどの右派勢力に政権を取られてしまう。独仏EUのエリート層は保身のため、英国と一緒にトランプと離別し、露敵視・ウクライナ支援の側にとどまることにした。露敵視・ウクライナ支援の枠組みは、米国が抜けて英欧だけになり、軍事的な規模が大幅に縮小した。英仏独EUの首脳たちは急に「軍事の規模を急拡大せねばならない」「もう米国には頼れない」「福祉を削って軍事に回す」「ウクライナを負けさせたら、次はわれわれ欧州がロシアに潰される。米国抜きで、ウクライナが勝つまで支援せねばならない」と言い出した。EU's Military-Industrial Complex Wants to Prolong Lucrative Ukraine Crisis as Russia, US Talk Peace

欧州は対米従属のために露敵視・ウクライナ支援してるだけだから、トランプの米国が親露に転換してウクライナを棄てたら欧州も追随する。それが、これまでの状況だった。だが今回、トランプは英国をけしかけ、英国が独仏EUを率いて米国抜きで露敵視・ウクライナ支援し続ける構図を維持するように仕向けた。このトランプの策略の結果、米国が親露に転換しても欧州が追随せず露敵視の側に残り、米国だけが露敵視の英国系傀儡の体制から離脱することに成功した。これは、覇権放棄屋・隠れ多極派であるトランプの作戦勝ちである。Putin and Trump usher in an era of new diplomacy

トランプ大統領が、英国の英国系世界単独覇権派の欧州限定での欧州諸国支配を認めたのは、英諜報界を完全に潰そうとすると、そのコストが非常に大きくなることに加え、トランプ大統領の戦略を改めて伝えると、「トランプは就任直後、英国や仏独EUに対し、米国はウクライナ戦争やロシア敵視、NATOの体制から抜けていくが、英欧が引き続きロシアを敵視してウクライナ戦争をテコ入れするのは阻止しないと伝えたのだろう。ウクライナ戦争は長期化しても、いずれロシアの勝ち、英欧の負けで終わる。英国系が自滅していく流れは変わらない。トランプは、英国系からの逆襲を防いだだけだHegseth to push Europe to boost spending on NATO, Ukraine as he visits Brussels」ということだ。

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